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2011年 10月 29日
主にガラス面から見る水草水槽のコンディション(暫定版)
週に 1度換水しているとする。その時当然ガラス面などの掃除もするだろう。
その換水から 1週間経ったときのガラス面の状態などで、水草水槽のコンディションをある程度知ることができる。

というわけで今回は「主にガラス面から見る水草水槽のコンディション」に関して、ちょっと気合を入れて 文字のみで真っ向勝負 してみます。




週に 1度換水しているとする。その時当然ガラス面などの掃除もするだろう。その換水から 1週間経ったときのガラス面の状態などで、水草水槽のコンディションをある程度知ることができる。

  [A] 水草が順調に生長していて、1週間経ってもガラス面にコケが全く付着しない

  [B] 水草は順調に生長しているものの、1週間経つとガラス面に薄っすらと産毛状態のコケが出る

  [C] 水草は順調に生長しているものの、ガラス面のコケだけではなく水草に緑藻が発生が発生する

  [D] 水草の生長が鈍り出したくせに、ガラス面のコケや緑藻が増え始める

  [E] 水草の生長が鈍り出し、ガラス面にもコケが生えない

  [F] 黒髭ゴケが増え始める

  [G] 黒髭ゴケ、緑藻共にかなり増えてしまう



[A] は窒素・カリウム両者とも余剰なく水草が全て消費している理想的な状態で、何の問題もないだろう。

でもなかなかここまで理想的な状態っていうのはそう多くないですね。


[B] もまたほぼ問題のない状態と言っていい。っていうか、これがむしろ普通の状態だろう。
1週間に 1回の換水と同時にガラス面の掃除をすれば何の問題もない。


[C] の「水草は順調に生長しているものの、ガラス面のコケだけではなく水草に緑藻が発生する」は [B] を通り越して窒素が余剰になったパターンだ。

もっとも、水草に多少の緑藻が付くくらいならまだ正常範囲内で、普通それをヤマトヌマエビが食べてくれる。

だからもし水槽内にヤマトヌマエビが 1匹もいないのだったら、まずはヤマトヌマエビを導入してください。ヤマトなしに完全にコケを封じ込めるのは素人には(プロでもほとんど)無理です。

まあ 60cm水槽なら 10匹はほしいところだ。ミナミヌマエビならこの3倍はほしい。
当然エビたちには(ちょっとかわいそうだけれども)エサは特に与えない。コケを食べてもらいたいのだから。

あと魚の数が多過ぎる場合は減らす。魚は「窒素発生装置」だ。その魚が多過ぎれば当然窒素過多になる。
まあ 60cm水槽でカージナルテトラ換算 20匹が限界といおうか、無難って感じがする(水草の量や濾過能力にもよるけれど)。

逆に水草が少な過ぎる場合は増やす。水草は「窒素吸収装置」なのだから。

ちなみに、窒素分が含まれている肥料を入れているのならやめましょう。例えば園芸用のハイポネックスなどだ。
ハイポネックスは水草用の肥料ではない。素人は手を出してはいけない。

もう一つちなみに、アマゾニアなどの栄養系ソイルの初期の場合はある程度の集中換水をしないとコケまみれになるようだ。
最初の 1 ~ 2 週間は毎日半分の量の換水をしている人もいる(私には栄養系ソイルの最適換水量はよく分からないが)。


[D] は「水草の生長が鈍り出したくせに、ガラス面のコケや緑藻が増え始める」というパターン。

「ガラス面のコケや緑藻が増え始める」という点では [C] と同じだが、水草がうまく育ってくれないという点で [A] から [C] までとは大きく異なる。

水草の成長が鈍っている場合の原因は、例えば水質や CO2 の添加量、光量、濾過の状態など、他の要素も関連してくるので究明が難しい。
だから飽くまでここでは施肥に限っての説明ということになる。

コケ(ここでは緑藻)は窒素分だけでも育つ。その窒素分を水草が消費し切れずに余剰になっているからこそコケが発生する。そういった意味では [C] と同じで窒素が余剰になったパターンってことになる。

しかし窒素・カリウム両者が共に余っているのならコケも増えるが水草も育つはず。
ところが水草は育ってないのだから、これは窒素過多というよりもむしろカリウム不足と考えるべきだ。
カリウムが不足していて水草が窒素分をうまく使えないからこそ窒素過多になったとも言える。

そこで換水量を、例えば週に 1度 20リットル換水から週に 2度 20リットル換水に増やし、その際必ずカリウム+微量元素の入っているフローラプライドなどを投与する。
これで徐々に窒素とカリウムのバランスが取れてくることになる。

そして緑藻が減ってきたら換水量を元に戻す。フローラプライドの規定量の投与( 20リットル換水するなら 10ml)は続ける。

ちなみに炭酸カリウム粉末から作ったカリ肥料は駄目。微量元素が入ってないからだ。フローラプライドなどのように必ずカリウム+微量元素の入っているものを使用する。
あるいは底床にイニシャルスティックを埋め込んでもいいです。

緑藻がかなりはびこってしまったのなら、一時的にヤマトヌマエビ軍団を大量投入させるしかないです。60cm水槽で 20 ~ 30匹ほどは投入しましょう。抜群の働きをします。


[E] は「水草の生長が鈍り出し、ガラス面にもコケが生えない」パターン。

この場合は今までと逆に窒素が不足している(あるいは窒素・カリウム両者ともに不足している)。
魚が少ない水槽や、極端に水草が繁茂している水槽で起こる現象だ。要するに「窒素発生装置」である魚よりも「窒素吸収装置」である水草の方が勝ってしまっているわけですね。

だから窒素発生装置である魚の数を増やすか、ADAのグリーンブライティ・スペシャルやカミハタ・スティックのように窒素分を含んだ肥料を使うことになる。

あと、これは私の実際の経験なのだが、吸着系のソイルを使っていたとき、最初はうまく行っていたのに、1ヶ月を過ぎたあたりで急にこのパターンに陥ってしまったことがある。
すなわち、見事にコケも生えない代わりにちっとも水草が育たなくなってしまったのだ。「ソイルには当然肥料分が入っている」と思い込んでいて、一切肥料分を加えなかったためだ。

窒素発生装置の魚を入れていればガラス面にはコケが生えて [D] の状況になったはずなのだが、ほとんど入れてなかったため、「コケも生えない代わりに水草も育たない」という状況ができあがったというわけ。

この場合は窒素もカリウムも何もないわけだから、まずは底床にイニシャルスティックをピンセットで頑張って埋め込み、魚を適量入れれば、カリウム・窒素ともに供給されることになり、改善されるはずだ。

私のときは面倒なんで液肥のハイポネックスを使ったんですよ。そしたら水草が育つようになったのはいいのだけれど、そのうち同時にコケも大発生してしまった。
つまり一気に [C] の「水草は順調に生長しているものの、ガラス面のコケだけではなく水草に緑藻が発生する」になってしまったのだ。今度は窒素過多ですね(やれやれ・・・)。

ちなみにこのとき随分ヌマエビが死にました。やはりハイポネックスは怖いです。


[F] は「黒髭ゴケが増え始める」というパターン。

この場合はリン酸が余剰になっている。
リン酸は水草水槽において、「余剰することはあっても枯渇することは(多分)決してない」というとても厄介なものだ。

しかもこの黒髭ゴケ、流石のヤマトヌマエビも食べてくれない。だからなおさら厄介だ。

だけど水槽内の環境がよくて、なおかつ施肥のバランスがよければ、そんなに大発生することはないはずなのだ(事実 五ツ石の草原 では10ヶ月ぐらいはほとんど「黒髭知らず」で済ますことができた ← 逆に言えばこれが今の私の限界)。

それでもセットからある程度の時間(半年以上とか)が経ってくると、じわじわと発生してくる場合が多いのも事実。

その場合は、リン酸は底床やフィルター内にたまりやすいため、底床やフィルターの掃除をする(ソイルの場合は底床の掃除はできないからフィルターだけ)。
フィルターのウールマットも全て取り替えてしまおう。

諸説あるが、フィルター(ろ過装置)は 3ヶ月に 1回は掃除した方が無難だ。
このときホース内もきっちりと掃除しよう。ホース内の掃除だけでも水流がかなり復活することがある(そのくらい汚れているってこと)。

ところでフィルターの掃除と換水を同時にしてしまうと水槽内環境に与える影響が大きいから、フィルターの掃除をするときには換水はパスした方が無難だ。

ちなみにこのとき「コケが出たから」と妙に換水量を増やすと窒素やカリウムばかりが流れていってリン酸だけが残り、余計に状況が悪くなる。
換水するのならカリウム+微量元素を加えてリン酸だけが突出しないようにしよう。

そしてもちろんハイポネックスなどの園芸用の肥料を使っているのなら中止する。安いからといって園芸用の肥料を水槽に持ち込むのは危険です。

ところで、シャワーパイプや石などに多少黒髭ゴケが付くのは仕方のないところだ。取り出してタワシでこするなどして除去しましょう。

しかし生きている水草に付き始めるとやや危ない状態(アヌビアス・ナナのように生長が極端に遅いものは仕方ないとして)。
そして黒髭ゴケが水槽全体に大量に発生してしまった場合は、もうかなり危ない状態。最早リセットしかないだろう。

ただ、単にリン酸が余剰になっているというよりも、カリウム+微量元素が不足しているために水草がリン酸を利用できない状態になっている可能性もある(リービッヒの最小律)。
この場合はカリウム+微量元素の入っているフローラプライドなどを投与すれば(初期の段階ならば)改善の余地はある。

[G] の「黒髭ゴケ、緑藻共にかなり増えてしまう」は、窒素・リン酸共に余剰になっているってことで、言うまでもなくかなり危ない状態。
こちらも最早リセットしかないだろう。

ただこの場合も、単に窒素・リン酸が余剰になっているというよりも、カリウム+微量元素が不足しているために水草が窒素・リン酸を利用できない状態になっている可能性もある。
この場合はカリウム+微量元素の入っているフローラプライドなどを投与すれば(初期の段階ならば)改善の余地はある。

そもそもこのような環境にならないように管理することが大切だ。

「窒素発生装置」である魚類と、「窒素吸収装置」である水草とのバランス、十分な光量と CO2 の添加、アルカリ性に傾かせない水質の維持(例えば大磯砂を酸処理しないで使うとアルカリ性に傾く)、窒素・リン酸・カリウムの肥料バランスを考慮した施肥・・・などを考えて水草水槽を管理しましょう。

施肥に関しては当ブログの コケと施肥について を参照していただけると嬉しいです。


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以上、現時点で自分で実践していること、思っていることを備忘録って感じで偉そうに書いてみました。

この私自身、まだ全然水草水槽をちゃんと維持できていないレベルですが、まあ「暫定版」ってことで秋の夜長に楽しんでいただけたなら幸いです。

(一応こんなに一生懸命書いたのは コケと施肥について 以来で、執筆・加筆・訂正に 5時間ぐらいかかりました)

ちなみに私の考えは Nature Garden さんの影響を強く受けています。
Nature Garden さんはプロの方ですが、ブログを拝見するとプロである Nature Garden さんだって時々はうまくいかないこともあるようです。

だから素人である我々がうまくいかないのは当たり前だったりします。
これからも大いにコケまくりながら水草水槽を共に楽しんでいきましょう。

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by KamakuraAQUA | 2011-10-29 18:01 | アクア考


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